古本 由美子(当事者家族)さん
笑ってる場合ですよ
我が夫は脳性麻痺1種1級のいわゆる重度障害者です。夫は当然の事(?)発語障害があるのですが、いくら普段から聞き慣れていても、彼が過緊張で浅い呼吸しかできない状態であったり、声を出そうとする時に喉と口の筋肉がこわばって調子が悪い時であったり、はたまた声が小さく聞き取れないとか、私には訳の分からない言葉にしか聞こえない…といった事があります。
少々昔の事ですが、彼が「ドーナツうんこもらえる」と言ったように聞こえた事がありました。正解は「ドラミちゃん冷温庫もらえる」。某引っ越し屋のTVコマーシャルの話でした。
こんな事はしょっちゅうで、ひどい時には、「ちょこ~にゃちょっとこなーとぴっこーしちゃう」と外国語でも話しているのかと思う時も。正解は「遠くにやっとかないとひっくり返しちゃう」と、ちゃんと日本語で話していました。
こういう時は大抵、過緊張で息を吸って吸って~、吐けない!という状況の時だというのに、「ちょこ~にゃ・・・」を繰り返すうちにだんだん楽しくなってきて、最後には夫婦で大爆笑。
他人に障害の事で笑われると腹が立ちますが、家族間では笑い合えます。そして、客観的にみると笑っている場合じゃないのでしょうが、笑う事で息が吐き出せます。
こんな具合で、我が家では私が聞き間違えた言葉を速攻でメモをして、笑い話のネタにし、夫はそれを「ひっでーな!」と言いつつ満面の笑みで許してくれています。
※「構音障害と私は」は、“話す”ことにまつわる実際の経験から紡ぎ出すコラムシリーズ。いろんな声が重なり、社会の理解が少しずつ広がっていくことを願っています。



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