その人の言葉に耳を傾ける
今日は「私と構音障害」というテーマでお話をさせていただきます。
私が構音障害を身近に感じるようになったのは、 亡くなった祖父が構音障害だったことがきっかけでした。
祖父は以前は普通に会話ができていました。 しかし構音障害になってからは言葉が聞き取りにくくなり、 何を伝えたいのか理解することが難しい場面が増えていきました。
私も一生懸命聞こうとしていましたが、 何度聞いてもわからないことがありました。 何度も聞き返してしまい、 祖父は伝わらないことが悲しそうでした。
理解してあげられないもどかしさ。 祖父が悲しそうにしている姿を見て、 私はわかったふりをして 「うん」「そうだね」などの曖昧な返事をすることが増えていきました。
当時の私は、それが祖父を傷つけない方法だと思っていました。 でも今振り返ると、それは違ったと感じています。
もっと時間をかけて聞けばよかった。
わからなくても、 「もう一度教えて」と寄り添えばよかった。
わかったふりをするのではなく、 祖父の言葉を理解しようと努力すればよかった。
そんな後悔が、今でも心に残っています。
私たちにできることは、 わかったふりをするのではなく、 相手の言葉に耳を傾け、理解することではないでしょうか。
祖父は私に、その大切さを教えてくれました。
祖父が私に教えてくれた学びを、 これから多くの人のために生かしていくこと。
それが、私が日本構音障害協会で 取り組んでいきたいことです。
「構音障害とわたしは」は、“話す”ことにまつわる実際の経験から紡ぎ出すコラムシリーズです。 いろんな声が重なり、社会の理解が少しずつ広がっていくことを願っています。


コメント